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BL、生活、その他いろいろ

恋愛ってこんなにさりげないんだ!-紺津名子「サラウンド」を読んで

ずっと好きで、追いかけている漫画がある。
紺津名子さんの「サラウンド」という漫画だ。
男子高校生3人のゆる〜い日常を描いた作品で、ささやかで、あ、学生の時確かにあったなこういう空気感、という楽しさを感じさせてくれる作品だ。「光ってないけど眩しい毎日」というキャッチコピーがぴったりだと思う。
現在2巻まで発売されていて、3巻の発売も決定した、現在連載中の漫画である。
学生時代の独特ののんびりした空気を味わいたい人、気のいい登場人物たちのくすっと笑えるやりとりを読みたい人には、とってもオススメする。

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わたしは、この漫画の、男の子3人が男ばっかりでわちゃわちゃ〜としているところが好きだった。脇役で女の子も出てくるんだけど、その子達もかわいくて、でも男主人公たちの目線で「かわいいもの」として描かれているわけではないところが、いいなと思っていた。

ところで、わたしは恋愛が主題じゃないのに、恋愛が描かれた作品が苦手だ。特に男女の恋愛がだめで、出てくるとウッ〜〜〜!!!となってしまう。
そんなわたしだが、最近のサラウンドでの「恋愛描写」は大丈夫だったのだ!サラウンドも、最初は恋愛が主題ではなかったので、いつもだったらそういう作品で恋愛描写が出てくるとうわっとなるのだが、全然そうはならずに、むしろキュンとしてしまって、それにびっくりしたので、ブログを書いている。

サラウンドで描かれた恋愛は、おおげさではなく、賛美もされておらず、恋ってものすごくさりげなく始まるんだ、と感じられるものだった。生きていて、外をふと見て空がきれいだな、と感じるのと同じくらい、日常との境目がなくて、ふとした瞬間に心を弾ませてくれるものなんだな、と感じられる、そういう描写だった。

わたしが、恋愛を主題としない作品での恋愛描写が苦手なのって、人間って絶対恋愛するよね、という前提を押し付けられているように感じるからだ。そこで恋愛しないでしょ?恋愛よりもっと大事なものもあるでしょ?なんで男女の間柄だからといって脈絡なく恋が始まるの?という疑問をずっと抱き続けてきて、もうそのことにがっかりさせられるのが嫌だったから、恋愛描写のある作品は避けるようになった。

サラウンドの恋愛描写は、なんだかとてもなりゆきが自然だった。読んでいても、恋愛して当たり前だよねと押し付けがましくしてくるところが全くなく、登場人物たちが生きている世界では、なるべくしてなったのだな、と思わせてくれるところが良かった。

こういう作品は、もしかしたら世の中にたくさんあるのかもしれないけど、長らく恋愛描写に怯えて物語を楽しむこと自体を諦めていた自分にとっては新鮮で、ありがたく、嬉しい出会いだった。

恋愛描写を読んでキュンとする、ということも久しぶりすぎて、な、懐かしいこの感覚……!とおどろいている。

恋愛描写を除いても、とてもいい作品なので、もしこのブログを読んでくれた人がいたら、チェックしてみてほしい。
わたしも、この恋の行方がどうなるのか、とても楽しみにしている。一緒に見届けよう。