読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

333

BL、生活、その他いろいろ

白雪姫のお妃は、鏡を叩き割って怒っても良かった

雑記

 白雪姫のお話、知っていますか?

 私はグリム童話で読んだっきりで、ディズニーのものは観たことないんですが、あらすじだけは知っています。

 

 白雪姫のあらすじとしては、昔あるところにとても美しい白雪姫という人がいた。その継母である美しいお妃様は魔法の鏡を持っており、「世界で一番美しいのは誰?」と問いかけては、「それはお妃様です」という鏡の返事に満足していた。ところが、白雪姫が年頃になった時、鏡は「この世で一番美しいのは白雪姫だ」と言った。それに怒ったお妃様は、白雪姫を殺そうとするが、殺しを依頼した猟師が、白雪姫の美しさと可哀想な境遇に同情し、こっそり姫を逃がしてしまう。その後逃げ出した姫は、7人の小人が住む家にたどり着き、そこで楽しく暮らす。白雪姫は死んだと思っていたお妃様は、鏡が「一番美しいのは白雪姫」と答えたことにより、白雪姫が死んでおらず、更に小人の家で楽しく暮らしていることを知った。どうしても白雪姫を排除し、再び自分が一番美しい女性だと答えさせるために、自らがお婆さんに扮し、白雪姫を毒殺しようとする。しかし姫は、お妃様からもたらされる色々危機を乗り越え、最終的に王子と結婚する。一方、お妃様は酷い仕打ちによって死ぬ。

 

 どのお話でも、おそらくこれがストーリーの大筋だと思います。

 それで、私思ったんですけど、このお話ってルッキズムとエイジズムの極み!!みたいなお話ではないでしょうか。お妃様は、自分の容姿が世界で一番だと思っているんだけど、誰かに認めてもらえないとそのことに自信を持てないんですよね。自分の容姿の良さを誰かに認めてもらえなければ、もう落ち着いてなんかいられない、自分が一番でないとだめ、一番になるためにあらゆる手段を用いる。

お妃様のアイデンテティって、容姿がいいことでしかないんですよね。そこを誰かに否定されるともうだめ。

 お妃様は誰がなんと言おうと自分は綺麗だ、って思うことが出来ない。誰かに認められなければならない。認められなければないから、わざわざ鏡に聞いてるのに、鏡は突然「一番美しいのは白雪姫だ」とか言い出す。これってとてもつらいんじゃ、と思ったんです。

 

 ていうか、鏡って何様って感じじゃないですか?誰が一番美しい、とか言って、「美しさ」の基準を勝手に作って、ジャッジしている。何を以ってして美しさの基準を決めているのか?白雪姫が年頃になった途端きれいきれいと言い出すってことは、若さが決め手なの?いままでお妃様のことちやほやしてたのに、いきなり何なの???

 

 わたしここでお妃様は鏡を叩き割って良かったと思うんですよ。自分を認めるために使ってる鏡だったのに、いきなり自分を否定してくるようなものに変わっちゃったんですよね?憎むべきは白雪姫じゃなく、いきなり手のひら返してきた鏡なんじゃない?お前は何様なんだと、人をジャッジさせるために使ってたんじゃないんですけどと。

 

 鏡だけじゃありません。猟師も、小人も、王子様も、若くて美しい白雪姫をちやほやしだす。全て男の目線で見た目をジャッジする。若いか若くないかで扱いが違う。

白雪姫とお妃様を除いたみんな、つまり男性ですけど、彼らは男目線で、人のことをジャッジするのが当たり前のように振る舞うんです。

そして、全ての元凶は鏡ですよ。最初はそこから始まった。

 

 お妃様は、そんな身勝手なジャッジに左右されなくったって、自分は美しいんだって、思っても良かった。若さや見た目だけで人の価値をジャッジするような、そんなやつらなんか気にしなくてもよかった。そうやって人をジャッジしてくるやつらの代表である鏡なんて、叩き割ってやっても良かった。

 

 お妃様は、お婆さんの身なりをして白雪姫を殺そうとするんですね。そして、いじわるで、自己中心的で、美にこだわった醜い「ばばあ」として処刑されるんですよ。一方で若くて美しい白雪姫は、色んな人に親切にしてもらって、王子と結婚する。

すごく、対称的だと思うんです。「若く」「美しい」白雪姫はは素晴らしい。一方、「年を取り」「美しさを奪われた」お妃様は残虐な方法で罰せられ、死ぬ。

お妃様、可哀想じゃないですか!?エイジズムとルッキズムにぐるぐるに絡めとられて殺されるんですよ。

お妃様が「若さ」や「美しさ」に拘るのは、こういう男性目線からのジャッジに合格しなければ、幸せに生きていけない世界だったからではないでしょうか。お妃様が鏡に頼らなければ生きていけない、男性から認められなければ生きていけない、そんな状況で、自分がただ「ばばあ」として捨てられる将来に、危機感を感じたのではないでしょうか。

 

 むかしのプリンセスストーリーって、いじわるばばあvs美しい若い女性、っていう構図になっていることが多いと思います。そして白雪姫では特に、「若さ」「美しさ」(あと純真さも)が話を左右する基準になっていて、お妃様はその基準をもう満たせない存在になってしまったから、死ぬ。

かわいそう!!理不尽!!そんな世の中滅びてしまえ!!

 

 お妃様は、そうやって自分のことをジャッジして、理不尽に不幸に至らしめるような人達に反抗してよかった。自分のことを縛る、「男目線でのジャッジ」に頼らなくても、自分を認めてあげられるような環境でないことに、嘆いても良かったし、怒っても良かった。根本的に悪いのは、お妃様ではなく、「若さ」「美しさ」を満たせない人間は不幸になる、という価値観ではないでしょうか。

 

 そういう価値観を叩き割って、自由になれれば、よかったのに。白雪姫って、ハッピーエンドのプリンセスストーリーの代表ですけど、すごく悲しいお話だと思いました。

 

 

追記

 白雪姫は、自分が幸せになることに消極的というか、待ちの体勢でしたよね。昔のプリンセスストーリーでよくあるタイプの人ですけど。一方、お妃様は自分が幸せになることに積極的なんです。自分が世の中から捨てられないために、色々やる。最終的には自分で白雪姫を殺しにかかる。自分の目的のために、自分の幸せを取り戻すために、動く。だけど、プリンセスストーリーの中では、そういう「厚かましいばばあ」は幸せになれないんですよね。純真なまま、何も知らないまま、何も出来ないまま、とにかく儚げに美しくいる女性が、幸せになる。男性に幸せにしてもらう。

 男性に認められない、男性に保護されない女性は、死ぬしかないのかと思うと、うええって感じです。