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BL、生活、その他いろいろ

外国版BL用語?「 slasher 」と「 shipper 」 を使ってみたい!(2)

2020.11.26追記

こちらの記事は2015年のものとなります。

参考にしたWikipediaのページも内容が変わっていると聞きました(まだ詳細には確認できていないのですが)

ですので、こちらの記事は「昔のWikiには載ってたらしい」くらいの感じでお楽しみください。

 

2021.5.10追記

shipperについての認識に誤りがありましたので訂正記事を書きました。ご一読ください。

海外版BL用語?「slasher」と「shipper」を使ってみたい!(3) - 333

 

前、外国版BL用語?「 slasher 」と「 shipper 」 を使ってみたい!(1) というエントリを書いたのですが、そこで「細かいshippingのルール等は次回書きます」と言っておきながら、放置し気付けば1年が過ぎてしまいました。たまにアクセス解析を見ると、定期的に閲覧されているようで、slashとかshippingに興味がある人って結構いるのかも、と感じています。この勢いで(?)もっと浸透して、自然と使えるくらいになればいいのに!

 

 ということで、今回はslash、shippingの表記ルールと、ちょっとした用語をピックアップしてみたいと思います。slashとshippingの概要、名前の由来等は前回の記事で紹介しているので、そちらも併せてどうぞ!

 

 今回主に参考にしたサイトは、前回に引き続きウィキペディア英語版fandomのページと、slash(外国産やおい)用語辞典 - 腐女子のための二次創作サイト入門 - Tips - AZ storeBecause you're an idiot. |どうでもいいスラッシュ用語集です。(今回英語のページはほとんど見ていないので、実際に海外で使われている意味合いや雰囲気とはちょっとちがうかもしれません)

ここでは、簡単なルールと、知らないと意味が分かりづらい、だけど日本でもよく使うジャンル・表現の呼び方、個人的に面白いなと思った単語を中心にまとめてみました。

 

 まずはslashとshippingのルールについて。

 slashは、pearing(ペアリング=日本で言うところのカップリング)にしたいキャラ2名の間にスラッシュを入れて表記します。例えばAとBというキャラの組み合わせを表したいときは「A/B」になります。日本における掛け算方式とは違い、名前の順番と受け攻めは関係無いようです。ただ調べてみると、メジャーなカップルは呼び方が決まっている場合もあるようです(好きなペアを検索するときのことを考えると決まってたほうが便利だからかも)。例えば前回紹介した、スタートレックの人気ペアであるカーク(Kirk)とスポック(Spock)だと、Spock/Kirkよりも、Kirk/Spockの表記の方が多いようです。ところが、私の好きなパーソン・オブ・インタレストというドラマのペアを探してみたところ、面白いことに、同じキャラでも名前での表記または名字での表記と、フルネームの表記では、キャラの順番が違っていました。ジョン・リースとハロルド・フィンチというキャラのペアは、名前での表記だと「John/Harold」、名字だと「Reese/Finch」となって、順番は同じなんですがですが、フルネームだと「Harold Finch/John Reese」となって、さっきの二つとは順番が逆なのです。不思議。

もう少し調べてみると、この順番には物語で中心的な人物がどちらなのか、どちらかというと受け傾向のあるキャラは誰なのか、というのが関係している(と感じる)、という話もあったのですが、全部が全部そういうルールで統一されているわけでもないようなので、きっちりとしたルールというのはやはりないようです。言いやすさとかが関係したりもするのかな、と思ったりしたのですが、今のところ謎のままです。

じゃあ、slash文化には受け攻めという概念はないのか、というと、全くない!というわけではありません。基本的にはリバーシブルであることが多いそうですが、「top and bottom」という「受け攻め」に似た用語がありました。topが押し倒して挿入する側(攻め)、bottomが挿入される側(=受け)です。少し話がずれますが、男性が上、女性が下の「正常位」というのは元々西洋の概念らしいです(日本には明治時代にやってきた概念で、それまでは別に男性が上なのが一般的というわけではなかったそう)。挿入する側=top(上)、される側=bottom(下)という単語はそういうところから来てるのかなーと思いました。

 ただこの用語、(精神的)SMという意味もあるようなので、これが書いてあるからといって必ずしも受け攻め固定の創作とはいえない....かもです。曖昧。

 

 さて、今度はshippingについてですが、ペアリングの仕方はslashと同じで、/をつかうことが多いです。また、AandBという表記もあるようですが、これは恋愛関係ではなく友情関係を表すときに使うともいわれることが多いっぽい。この2つの大きな違いは、slashが同性同士の関係を描くのに対し、shippingは男女間の関係も表すところ....と言われていますが、前回も触れたように、どちらも意味の変化が起こっていて、同性、異性で明確に区別できるものでもなくなってきている、ということでした。

shippingに関する話で一番面白かったのは、

 というもので、これすっごく使いたいんです。タイタニック!って言ってみたい。

 

 こんな感じで、他にも面白い用語もいくつかありました。

例えば、日本語の「やおい(やまなしオチなし意味なし)」と似た「PWP」。これは、Porn Without Plot(直訳すると"プロットのないエロ")もしくはPlot? What Plot?(プロット?プロットって何?)の頭文字です。海外でも似たような語源の単語があるんだなってびっくりしました。発想も一緒だし、頭文字取るのも一緒だし。

頭文字系でいえば、「NSFW」というのもあって、これはNot Suitable For Work(仕事場で見るのには不適切)もしくはNot safe For Work(仕事場で見るのは安全ではない)の頭文字で、「背後注意」と同じ意味です。

こういったPWPな作品、NSFWな作品とか、自分の好みの作品を見つけてしまいものすごく萌えた時に使うのが、「Unf.」。 Universal Noise of Fucking(一般的にセックスの時に出る声)の略らしいんですが、要するにめっちゃくちゃ萌えた!うっかり悦ぶ声が出ちゃうよ!はあああああん!!!!みたいな意味になるのかな。興奮度合いによって「uunf」とか「uuuunhhhfff」みたいに長くなっていくみたいです。

あと「MHC」。Magical Healing Cock(魔法の癒やしちんこ)の略で、「お清めセックス」のことです。魔法の癒やしちんこ!

 

最後に知っておくと便利そうな用語をまとめておきます。

AU」 Alternative Universe(代わりの世界)=パラレル

TW」   Trigger warning(注意喚起)

 =あなたをひどく不愉快にさせる可能性があります

  暴力表現とかレイプものにつける注意書き

non-con」Non consent(合意じゃない)=レイプ

OOC」 Out of Character(キャラクターから離れちゃった)

 =萌えるがままに書いていたら原作とは違ったものになってしまった

 キャラ崩壊、もはや原型を留めてない、とかになるとcharacter assasination(キャラの殺害)になるようです。

 

などなど。参考にしたサイトや、英語のサイトを見ていると、気になる単語がたくさんあって楽しかったので、興味がある方はぜひ見てみて下さい。

 

 最後に、ブロマンスについてちょっと触れておきます。slashとかshippingに比べて、ブロマンスは日本でもメジャーになってきた単語かなと思います。Twitterでもよく見ますし。私が初めてその単語を聞いたのは、海外ドラマSHERLOCKの放送が日本で始まった頃で、BLまではいかないけど絆の強い男性同士の関係という意味かなと思っていました。改めて調べてみると、「性的な関係のないホモソーシャル的な親密さ」という意味らしいです。「Brother」+「Romance」が語源だそうで、そう言われるとすごく分かりやすい。ブロマンスと言われている作品はたくさんありますが、これがブロマンスか!と衝撃を受けたのが韓国映画の新しき世界という作品です。すっっっっっっごいブロマンス!と言われていたので、気になって見たのですが、ほんとにすっっっっっっっっっごいブロマンスでした。兄弟的な愛、ホモソーシャル的な愛で、性的な関係はないけれど、恋愛にも劣らない非常に濃く密な関係性、絆の強さをまざまざと見せつけられた作品でした。暴力シーンがグロテスクですが、そういうのがものすごく苦手、というのでなければおすすめです。

ブロマンス作品と名高いものはslash作品も多いのですが、ブロマンスとBLは別物なんだなとつくづく感じました。なんというか、公式のキャラの関係性に使うのがブロマンス、それを見て萌えて作られたファンアートがBLもしくはslash みたいな感じなのかな。ブロマンスという単語を知った時は、「ホモ」に代わる新しい単語になるかも!と思ったのですが、この2つは別物っぽいです。ただ、日本の「ホモ」という単語には、BLだけでなくブロマンス的な関係も含むのだろうなと思います。こころとか山月記とか舞姫とか、あの時代のホモソーシャル的な関係が描かれた作品も日本ではホモと言われたりしているので。

 

 ブロマンスという単語は使えるようになってきましたが、やはりそれだけでは表せない関係もあるので、slash、shippingみたいな単語の普及は必要だぞ...としみじみ感じました。あと、ほんとにタイタニックっていうのを使いたくてしかたがないので、そのためにshippingっていうのを流行らせたいです。使ってみたい!(1) に引き続き、沢山の人に読んでもらって知ってもらえたらいいなと思います。はやれ~

 

 追記

(1)の方で書いたかもしれないんですけど、スラッシュで男性同士の物語のことをM/M(male/male)(読み方は多分えむえむ)、女性同士のものをF/F(female/female)って表します。BLの代わりになる呼び方を探して色々調べていましたが、今のところ、おそらくこれが一番代わりに使いやすいものかも(slashとかshippingとかは、どちらかというとジャンルの名前とか、行為に当たる単語っぽいのかな、と感じていたので)。

またそれぞれの単語のニュアンスとかは詳しく調べようと思いますが、例えば「AとBのホモ本が読みたい!」とかいうのは、「AとBのMMが読みたい!」って言い換えられるんじゃないかな!BLって単語に親しんでる身としては、結構近い感覚で使えるし、発音としてもなかなかかわいい感じでいいんじゃないでしょうか。