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BL、生活、その他いろいろ

地方とセクシャルマイノリティ

 わたしは近畿地方の田舎に住んでいます。セクシャルマイノリティとして生きるには、地方住み、田舎住み、それから実家住みというのは結構しんどいところもあるんだよという話と、その上でわたしが都市部でオフ会を開いているのは何故なのかってことが今回の話です。(多分そのうち加筆修正します)

 

 わたしがセクシャルマイノリティであり、またアセクシャルであることによって困ることをリストアップするとこんな感じ。

1.地域社会で暮らす中でセクバレ(セクシャルマイノリティだと周りにバレてしまうこと)するとかなり厳しい状態に置かれる

2.実家ぐらしの場合、セクバレは私だけでなく家族の生活にも影響を及ぼしてしまう

3.結婚しないという選択が異常だという考え方をする人達が多くてつらい

4.地元にセクシャルマイノリティのコミュニティがない

5.都市部にあるコミュニティやオフ会への参加に非常にコストがかかる

6.コミュニティ外にいるためネット以外で情報が入ってこないし、継続的な繋がりも持てない

7.地元で活動しようにも、セクバレのリスクが高くなる

8.なにより、田舎で生まれ田舎で暮らすということはわたし自身ではどうしようもないことである

 

など。

8が一番きついことなんですけど、もう本当にこればっかりはどうしようもない.....。

そんな中で、とにかく怖いのがセクバレ。やはり田舎では「セクシャルマイノリティ」というものは受け入れられない場合が多いし、異端は地域社会のコミュニティから排除されます。その際排除されるのはわたしだけでなく、家族や親戚も含まれるでしょう。地域社会において、噂が広まるのは早いです。保守的な人達から、差別的な扱いを受けるだろうということは、非常に恐ろしく、絶対に避けたいというのがわたしの考えです。

 

 しかしそうやっておびえ、カムアウトできない状況というのは非常に孤独感を感じます。周りが理解してくれないだろう、わたしは異端だという意識を持ったまま暮らすのはしんどい。ネットでの繋がりがあるだけましですが、やはり日常的に「自分と同じような人が存在して、生活している」という実感はネットだけでは得られません。セクシャルマイノリティのサークルに入ったり、自分でオフ会を開いたりしてから、この感覚、自分と同じような人がいるという感覚を持てているかということは結構大切なことだと思うようになりました。出会うこと、相手の存在を直接認識できるということで、とても心強く思えたり、自分の存在の肯定にも繋がりました。また、コミュニティに参加するということもやはり孤立感の解消することにつかがると思います。

しかし、そもそもわたしの地元にはコミュニティがないですし、多分他の地方・田舎にもあまりそういうコミュニティってないんじゃないかと思います。あっても、そこに参加することでセクシャルマイノリティだとばれる可能性があると考えると、参加しづらい。

関西では大学のサークルがわりと存在するのですが、社会人であったり他大学生であったり、アクセスが悪い場合にはやはり参加しづらかったり、参加条件(学内生のみ、当事者オンリーなど)が満たせないと入れないというところもあります。コミュニティにしろサークルにしろ、生まれた場所、年齢、仕事や学業の都合で住んでいる場所など、自分の都合ではどうしようもない部分で参加へのハードルがぐっとあがってしまうんだなと感じています。

 

 やはり問題なのは、地方住みの人間はどうやって自分の参加できるコミュニティを探すのかということと、コミュニティが見つかったとしても、それが都市部にある場合が多く、「出会い」のためのコストが非常に負担が大きくなるということです。関西だと、コミュニティやイベントが多いのは京都とか大阪とかなんですけど、そういった都市部までの交通費や時間は結構な負担です。それに、知らない土地、つてもない場所に行くのには勇気もいるし、どんな人達がいる集まりなのかという情報もほぼ得られません。せっかくお金出していったのに、外れだったとか、嫌な思いをしたみたいなことになったらとても損した気分になるだろうから、と躊躇してしまうところもあります。

だからといって、地元で出会いを探すのも大変で、セクバレの可能性も高くなるし、変な人と出会っちゃった場合で、しかもその人と生活圏かぶっちゃった場合とか、めちゃくちゃ面倒になりそうで、あんまり積極的にはなれません。

そんなかんじで、そもそもセクシャルマイノリティ関連の出会いの場を「見つけ」、「参加」すること自体、難しいものになっているなというのがわたしの実感です。

 わたしはたまたま、自分も参加できる大学のセクマイサークルに出会ったので、そこに所属しています。そこではセクシャルマイノリティがこんなに身近に存在するんだ、という実感を得ることが出来ました。しかしサークルの活動以外の、バーとかイベントとかには行きづらいですし(つてもないしアセクだし終電がめちゃくちゃ早い、実家住みなので親に行動を把握されており、にどこ行ってきたの?とか聞かれたら困る)、オフ会は自分で開催するまでは行ったことがありません。色んなセクシュアリティの人達が集まる場もいいけれど、アセクに特化したイベントとかにも行ってみたいなーと思って探していた時期もありましたが、安心していけそうだなと感じたオフは関東圏のものしか見つかりませんでした。

 

 

 それでですね、その打開策?として、わたしは今自分でオフ会を開いています。場所は京都、募集はツイプラを使っています。関西でオフ会がないのなら自分で開催してしまえばいいと思って。探しやすいように募集はネットでやっています。やはり京都まで行くには電車賃も時間もかかるのですが、地元から離れていて、でもぎりぎりアリかなという距離の場所で、かつ参加者さんもアクセスしやすいのではないかという場所、と考えて決めました。人の多い都市部だったらそこで多少何があってもわたしの居住地にまでは影響が及ぶ可能性は低いであろう、ということも考慮しています。

 オフ会を自分で開くことのメリットは、オフ会に行くときに問題となる交通費、時間、その他コストを最低限に抑え、アクセスの良さ、セクバレの可能性の有無、楽しさ、気軽さというハードルのいくつかを自分の都合の良いように、低めに設定できる点です。その辺は楽ちんです。しかし、やはりオフ会を開くときは都市部で行うので、地方から参加してくださる方からしてみたら、結局わたしのオフ会でもハードルが高いと感じる方も多いと思います。

 なので、わたしのオフ会に参加してくださる方は関西圏の人で来やすいところに住んでおられるのかなーと思っていたのですが、驚いたことに(そしてありがたいことに)、今までの参加者さんで結構遠方から来てくださる方も多いんです。中部地方や関東地方など。

 

 ここで唐突に、ふと疑問に思ったんですが、都市部の人だったらオフ会に参加しやすいのか、地方住みだからオフ会に参加しづらいのか、という点でした。

 

そこで先日、オフ会への参加についてアンケートを取りました。その結果がこれです。

①地方住み、都市部住みでオフ会に参加した経験のある人の割合はどれくらいか

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②都市部住み/地方住みの人で、人と出会いたいと思っている人の割合はどれくらいか

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(素人の作ったアンケートであり、結果の読み方も下手だということは了承していただきたいのですが)まず、このアンケートに答えてくださった方達の中で、地方暮らしと都会暮らしの人が半々であったことに驚きました。もっと偏ってるのかなって勝手に思っていたので。更に、おもったより地方住みの人と、都市部住みの人で、オフ会参加の割合は変わらない(むしろ地方住みの人のほうが参加経験が多い)というも意外でした。ここまで差が縮まるとは思っていなかったです。

 

こうなってくると、オフ会への参加で障害になっているのは地方に住んでいるから、という1点のみではないのではないんだろうと感じました。行く人は行くし、行かない人は行かないんですねー(ざっくり)。行きたいけどいけない、ではなく、そもそも行きたいと思わないという人もいるでしょうし。しかし、このアンケートだと地方住まいの人のほうが、ネット上での出会いで満足しているようなのは、やはり興味深い部分だなと思いました。

 

 ネット上での出会いといえば、わたしは最近「Skype会」というのをやっています。Skypeを使っておしゃべりするというものなんですが、これ超便利なんですよね。コストもかからないし、遠方の方ともお話できるので。オフ会での「実際に自分と同じセクシュアリティの人とが存在していると実感・体感できる」という体験はできないのですが、Skypeを使って、自分のことについて声に出して話すというのは、孤独感や思考の行き詰まりを解消する一つの方法として活用できるのではないかと思っています。

 

 そんな感じで、話があっちこっちしましたが、地方住みのわたしはセクシャルマイノリティとして以上ような感じ方をしていて、こういった方法で孤独感の解消をしています。ただ、これはわたしがアセクシャルであるから意味があるというか、これで充分だなんですが、性愛者の方でパートナー等を探している場合であれば、「(恋愛に発展させるきっかけとなる)出会い」が必要になってくると思うので、わたしのようなやり方では目的の達成は難しいのではないかと、勝手にですがそう思っています。出会い目的のイベントやパーティーに継続して参加するということを考えると、交通費以外の費用もかかると思いますし、なかなか人脈がないと行きづらいのではないかと思って。友人探しであれば、ネット上でも探せますし、さっき言ったようなSkype会等でも対応できるのかもしれないのですが....

 

 地方暮らし一口に言えども、セクシュアリティも置かれている状況も人それぞれで、なんとも言えないのですが、わたしの場合はこういう感じです、という話でした。しかし、オフ会主催をするようになってからこういう視点でTwitter等で見ていると、やはり地方暮らしということをネックに思っている方や、選択肢が非常に限られる原因になっている方も多いように思います。地方とセクシャルマイノリティという問題は、なかなか切羽詰まった問題であり、しかし解決するのは難しい問題....。自分も困っていることですし、なにか良い解決法とか、やり方とかないかなーと模索中です。

 おしまい。